運動について学ぶことは、筋力をつけることだけではなく、関節が本来持っている働きを取り戻すことにつながります。
「階段を下りるのが怖い」「立ち上がる時に膝が痛む」「しゃがみにくくなった」
年齢を重ねると、このような悩みを抱える方は少なくありません。
しかし、その原因は必ずしも「膝が悪いから」とは限りません。
実際には、膝そのものではなく、身体全体の使い方が変化しているケースが多くあります。
今回は、膝を守るために知っておきたい3つの視点をご紹介します。
①膝が悪いのではなく「身体の使い方」が変わっている
膝は本来、一つだけで大きな負担を支える関節ではありません。
足首、股関節、骨盤、体幹と連動しながら力を分散させることで、スムーズに動くよう設計されています。
しかし現代では、足首が硬くなる、股関節が十分に曲がらない、体幹が安定しないなどの影響で、本来他の関節が担うはずの負担まで膝が引き受けてしまうことがあります。
医療やリハビリテーションでも、膝痛の評価では膝だけでなく、股関節や足関節、歩行動作まで含めて評価することが一般的です。
つまり、痛みが出ている場所と原因がある場所は必ずしも一致しません。
膝の違和感は、「膝が弱い」というよりも、「身体全体の連携が崩れている」というサインなのかもしれません。
②現代人は「床を使う動き」が減っている
私たちの生活は、この数十年で大きく変化しました。
昭和中期頃までは、畳の生活が多く、床に座る、正座をする、しゃがむ、床から立ち上がるといった動作が日常の中に自然とありました。
しかし現在は、椅子やソファを中心とした生活が当たり前になり、膝を深く曲げる機会は大きく減っています。
その結果、膝だけでなく股関節や足首の可動域も少しずつ失われ、身体全体の協調した動きが低下していきます。
興味深いことに、床から立ち上がる能力は健康寿命との関連が報告されています。
海外では「座位から立ち上がるテスト(Sitting-Rising Test)」が行われており、床に座った状態から手や膝を使わずに立ち上がれる人ほど、将来的な死亡リスクが低いことが報告されています。
これは単なる筋力ではなく、柔軟性、バランス能力、協調性など、身体全体の機能を反映しているためです。
つまり、床から離れた生活は、知らないうちに身体が本来持っている機能を使う機会そのものを減らしているのです。
③膝を守るためには「支える感覚」を取り戻す
膝を守るために必要なのは、膝周りの筋肉だけを鍛えることではありません。重要なのは、足裏全体で床を感じることです。
歩くとき、立つとき、しゃがむときに、足裏全体で身体を支えられるようになると、膝への負担は自然と分散されます。
さらに、股関節と体幹が連動すると、立ち上がる・歩く・階段を上るといった動作も安定し、膝だけが頑張る必要がなくなります。
近年の研究でも、足部の感覚入力やバランス能力を高めるトレーニングは、高齢者の転倒予防や膝機能の改善に有効であることが報告されています。
つまり、「膝を鍛える」のではなく、「身体全体で支える感覚を取り戻す」ことが、膝を長く守るためには欠かせないのです。
膝は年齢だけで擦り減るものではありません。
もちろん加齢による変化はありますが、それ以上に日々の使い方や生活環境が大きく影響しています。
身体全体がうまく連動すれば、膝への負担は減り、痛みの予防にもつながります。
膝を守ることは、膝だけを守ることではありません。
足裏で床を感じること、股関節を使うこと、体幹で身体を支えること。
こうした基本的な動きの積み重ねが、歩く・しゃがむ・立ち上がるといった日常動作を支え、将来の健康寿命にもつながっていきます。
「膝が悪い」と決めつける前に、「身体をどう使っているか」に目を向けてみることが、本来の動きを取り戻す第一歩になるかもしれません。
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皆様が20年、30年先も健康的なライフスタイルを過ごしていけるために、健康のために必要なことをこれからも発信していきたいと考えておりますので、今後ともよろしくお願いいたします。
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