休養について学ぶことは、「何時間寝るか」だけではなく、身体がどのような状態で眠れているのかを考えることにつながります。
「朝起きると腰が痛い」「肩がこっている」「背中が重い」。
そんなとき、「寝具が身体に合っていないのでは?」と考える方も多いと思います。
もちろん寝具は睡眠環境をつくる大切な要素です。しかし、寝ている間の身体の動きや、日中の身体活動も無視することはできません。
今回は、「本当に身体が休まる寝床」について3つの視点からご紹介します。
①寝返りは「身体を守るための動き」
私たちは睡眠中、ずっと同じ姿勢で眠っているわけではありません。
成人では、一晩に20〜30回程度寝返りをするとされ、睡眠中も身体は無意識に動いています。
寝返りには、同じ場所へ圧力がかかり続けることを防いだり、血流を保ったり、身体にこもった熱を逃がして体温を調節したりする役割があります。
つまり寝返りは、単なる「寝相」ではなく、眠っている間にも身体を守るために起きている自然な運動とも言えます。
一方、腰や背中、股関節などの動きが少なくなっていると、寝返りそのものが小さくなったり、同じ場所へ負担が集中しやすくなったりすることがあります。
朝起きたときに身体が痛い場合、「どんなマットレスを使っているか」だけではなく、「寝ている間に自然に動ける身体なのか」という視点も大切です。
②現代は「寝具が進化し、身体を使う機会が減った」
現代の寝具は、高反発・低反発・体圧分散など、さまざまな機能を持つようになりました。
もちろん、適切なマットレスや枕を選ぶことは睡眠環境を整えるうえで重要です。
一方で、人類は現在のような高機能な寝具の上で進化してきたわけではありません。
日本でも、かつては畳に布団を敷き、毎日床から立ち上がる生活が一般的でした。さらに時代をさかのぼれば、人間は現在よりも地面に近い環境で休み、日中には歩く、しゃがむ、立つといった身体活動を繰り返していました。
しかし現在は、ベッドから起き、椅子に座り、車で移動し、また椅子に座るという生活が増えています。
厚生労働省の調査でも、日本人の歩数は長期的に減少傾向がみられています。
つまり、寝具が快適になった一方で、「日中に身体を十分に動かし、夜に休ませる」という身体本来のリズムそのものが変化している可能性があります。
寝具だけを変えても朝の身体の重さが変わらない場合、その背景には、日中の活動量や身体の使い方も関係しているかもしれません。
③「良い寝具」だけでなく「眠れる身体」をつくる
睡眠の質を高めようとすると、枕やマットレスに目が向きがちです。
しかし、どれだけ高価な寝具を使っていても、身体そのものが緊張した状態では、十分な休養につながらない場合があります。
身体を本当に休ませるために大切なのは、「寝具に身体を合わせること」ではなく、身体が自然に力を抜き、必要に応じて寝返りを打てる状態をつくることです。
そのためには、夜だけを整えるのではなく、日中の過ごし方も重要になります。
歩く、しゃがむ、床に座る、立ち上がる。こうした日常の動きによって関節や筋肉を使うことは、夜に自然と身体を休ませるための準備にもなります。
さらに、朝に太陽の光を浴び、日中に身体活動を行うことは、体内時計を整え、夜の睡眠を促すことにもつながります。
つまり、良い睡眠は「寝る瞬間」だけでつくられるものではありません。
朝起きてから夜眠るまでの身体の使い方そのものが、夜の休養につながっているのです。
寝具は、快適な睡眠を支えてくれる大切な道具です。
しかし、「どの寝具が一番良いか」だけを探し続けても、身体そのものが休める状態になっていなければ、根本的な解決にはならないかもしれません。
朝起きたときに身体が痛い、疲れが抜けない。
そんなときこそ、寝具だけではなく、「昨日、自分の身体をどのくらい動かしただろう」と振り返ってみることも大切です。
本当に身体が休まる寝床とは、高価なマットレスや枕だけでつくられるものではありません。
日中は身体を動かし、夜は自然に力を抜く。
そして眠っている間にも、必要に応じて寝返りを打てる。
「良い寝具を探す」から、「身体が眠れる状態をつくる」へ。
その視点を持つことが、20年、30年先まで健やかな身体を守る休養につながっていくのではないでしょうか。

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皆様が20年、30年先も健康的なライフスタイルを過ごしていけるために、これからも日常に活かせる健康のヒントを発信していきます。

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